Rd.10 European GP

今回のレースを見ていて、8年前のことを思い出した。
1999年ヨーロッパGP。ニュルブルクリンク
今回と同じようにドライとレインが何度も入れ替わり、トップに立ったドライバーは次々にトラブルやスピンで脱落していく波乱の展開だった*1。最終的に勝利したのは14番グリッドからスタートした、スチュワートGPのJ.ハーバード。この勝利は彼自身にとっても、そして、チームにとっても最後の勝利だった。


さて、今年のレースに戻ってみよう。

まずは、残念なことにハミルトンがデビュー以来築いてきた連続ポイント・連続表彰台の記録が両方とも今回途切れることになった。記録はいつかは途切れるものだが、これまで多くのドライバーが成し遂げられなかった記録だけに残念である。
予選でのトラブルはマクラーレンチームのミスによるものだったが、レースでのハミルトンのウェット〜ハーフウェットでのパフォーマンスや戦略ミスを見ていると、今回で記録は止まるべくして止まったのかもしれない。
今回ハミルトンが取った戦略はいくつか疑問を抱かせるものだった。特に再スタート時にドライに変更する必要があったのかということ。
かつてジャン・アレジはハーフウェットの状況で誰よりも早くドライにスイッチして、マシンを見事にコントロールして大きなアドバンテージをしばしば獲ていた*2。しかし、今回のハミルトンを見ていると、ドライタイヤでウェット路面をドライブする才能に関してはアレジほどとは思えないし、そもそも、ポイントリーダのハミルトンにリスクを負う必要性があったのかと疑問に思う。すぐに周囲もドライに変更したことで彼が得たアドバンテージはわずかだったのに対して、最初の2・3周でセーフティーカーによって取り戻したはずの同一周回と20秒かそれ以上の時間を失った。
今回はツイてない週末だったのだろう。ここ数レースいい結果を出せていないので次戦に期待したい。


次に、ヴィンケルホック。今回のようなギャンブルはそれほど珍しいものではないのだが、見事にギャンブルに勝ってデビューレースでラップリーダーになってみせたのはたいしたものである。ただ、今回のパフォーマンスは特別な状況下であるため、評価が難しいところなので、次のチャンスに期待したい。


そしてアロンソ。次々に変わるコンディションにも動じずに、見事ラスト5周で逆転するあたりはアロンソの勝負強さが垣間見えた。また、レース後にアロンソがマッサに抗議していたのは十分理解できる。マッサは自分のポジションを守ろうとしたつもりなのだろうが、とてもフェアとはいえない*3。抗議されてしかるべきと思う。
さて、これでハミルトンと2点差。フェラーリ勢とは10ポイント以上離れている。予選やレースでのラップタイムを見ても今回はフェラーリと互角に戦える速さが戻ってきたように見える。残り7戦どうなるか。たのしみである。

*1:フレンツェン:メカニカルトラブル -> クルサード:スピンアウト -> フィジケラ:スピンアウト -> ラルフ:タイヤバースト -> ハーバード

*2:2000年スパとか

*3:横にアロンソがいるにもかかわらず、幅寄せしてスペースを一切無くそうとするドライビングはフェアとは言わないだろう