Round.1 Australian GP

新らしいエアロダイナミクスKERS、性能差の激しいタイヤ。今シーズンがこれまでにない混沌のシーズンを予感させるものだった。


まず、ブラウンGP
彼らの速さが本物であることが完全に証明された。予選では3位ヴェッテルに0.6秒。同等の燃料搭載量をもつウェバーに対して1秒という圧倒的な差を見せ付けた。
対して 決勝では、2位だったヴェッテルとは最大で4.5秒程度の差しかつけなかったのは、解せないものがある。唯一考えられるとすれば、シリーズで8基しか使えないエンジンをセーブするためとしか思えない。
とりあえずヨーロッパラウンドが始まるまでは、彼らがチャンピオンシップの主役になることだろう。本当におめでとう。


次に、マクラーレンメルセデス
誰が今回マクラーレンが表彰台を獲得してオーストラリアを後にできると思っただろうか。おそらく誰もいないはずである。L.ハミルトンは金曜からスピードに苦しみ、予選ではギアボックストラブルでQ2を走れずに敗退、さらにはギアボックス交換で最後尾グリッドからのスタートと、どん底の状況だった。
しかし、レースではL.ハミルトンの力強い走りと、戦略の妙によって予想以上の結果を残すことができた。
まずは、スタートでソフトをはいたこと。予想以上にペースが上がらず予定よりも早くピットストップすることになったのは誤算だったが、数周後にセーフティーカーが入ったことで、結果的にソフトタイヤによってできたディスアドバンテージを帳消しにすることができた。
次に、L.ハミルトンのペースが悪くなかったこと。ブラウンGPヴェッテルクビサと同等のペースでは走れなかったものの、スタート直後の混乱やセーフティーカーでトップ3より後ろがシャッフルされたことで、フェラーリやウィリアムズ勢といったそこそこ速く走れるマシンがバトルをする状況に置かれたことで、L.ハミルトン - マクラーレンメルセデス MP4-24 との競争力の差が出なかったことは幸いした。また、2回目のストップでフロントウィングを調整してからさらに上位と互角に走れるほどにペースが良くなった。フリー走行ではマクラーレンよりも上位にいた F.アロンソ に迫られることがなかったことからも、レースペースがそこそこ良かったことが伺えた。
H.コバライネンは スタートダッシュこそ良かったものの、R.バリチェロが引き金になった1コーナーの混乱で巻き添えを食らったのは残念。せっかく今回はL.ハミルトンよりも好調だったのに。
MP4-24 に望まれるのは、今回FIAからお墨付きの出た 3次元ディフューザーを早く搭載できるようになるかどうか。次週セパンまでとは言わないが、3週間後の上海までに間に合えば、まだまだチャンピオンシップを狙えるだろう。


そして最後に。
今回のレースは見ていて希望の持てる内容だった。
トップ2台は頭1つ出ているものの、トップから最後尾まで差が2秒以内という、チーム間の競争力が非常に近くて、さらに KERS や 2種類のタイヤ、今回はほとんどクローズアップされることはなかった 可変ウィング…。
ロングストレートや中高速コーナーが点在するセパンで、どう変わってくるか。
エアロダイナミクスに問題のあるマクラーレンからすると、夕刻スタートなのでスコールが降ってレインになると、チャンスがあるかもしれない。
雨乞いすることにしよう。