2008年シーズンを振り返る - Formula 1
今シーズンは本当に歴史に残るシーズンだった。
開幕戦オーストラリア。フェラーリはまさかの惨敗で、マクラーレン・メルセデスは近年まれに見る開幕戦完勝。デビューレースだったブルデーが予想以上に善戦して CART 4年連続チャンピオンの片鱗を見ることができた。
その後 シンガポール、バーレーン、スペイン、トルコとフェラーリ勢が立て続けに優勝をさらって、対照的にマクラーレン勢は、マレーシアでのグリット降格ペナルティ、バーレーンでのハミルトンのミス、スペインでのコバライネンのトラブル…。フェラーリのワンサイドシーズンになるのかと思った。この間に スーパーアグリF1 がF1撤退。
モナコは11年ぶりの雨。レース中にウェットからドライへコンディションが変わる中、マッサ、クビサ、ハミルトンの接戦。最終的にハーフウェットの難しいコンディションで速さを見せたハミルトンの勝利。対照的に、らしくないミスを見せたライコネン。このあたりからライコネンはツキに見放されたように思う。
カナダでは、BMWザウバーとクビサの双方にとっての初優勝。路面のトラブルやピットレーンでのアクシデントがあった中、そんなゴタゴタを忘れさせるようなさわやかな勝利だった。
フランスは、すっきりしないレースだった。ライコネンはエンジントラブルで脱落。マクラーレン勢もBMW勢もまったく冴えがなかった。。。
イギリス、ドイツは ハミルトン と マクラーレン・メルセデスの強さを強く印象付けるレースだった。イギリスでは バリチェロがコンディションを上手く読んで3位に。ドイツでは ピケがセーフティーカーに恵まれて2位になった。それでも マシンで勝るマッサから2位を守りきったのだから、素晴らしい。
ハンガリー、バレンシア、ベルギーはドタバタの連続だった。ハンガリーでは ハミルトンがタイヤトラブルで後退し、マッサはラスト3周でエンジントラブル、ウィナーはラスト3周まで誰も注目されなかったコバライネンだった。バレンシアでは マッサのピットストップに対する不可解な裁定。そして、ベルギーでも レース終了後にハミルトンに対するペナルティの裁定。このあたりから、チャンピオンシップに政治性が感じられるようになってきた。
イタリア。イタリアのチームが初優勝。ベッテルの走りは非の打ち所のない素晴らしいものだった。
シンガポール。今でも本当に現実のレースなのかと思う。それくらい夢のような素晴らしいレースだった。唯一注文をつけるとすれば、オーバーテイクがほとんど見られなかったくらいか。
日本。チャンピオンシップを考えると残念なレースだった。ハミルトンもマッサも恥ずべきレースをした。さらにスチュワードの不可解、というより不公平な判定には失望させられた。あんなアンフェアなジャッジはこのレースで最後にしてもらいと思う。
中国。ハミルトンがここぞというときの勝負強さを発揮した。昨年の汚名を返上したというところか。
ブラジル。マクラーレンとハミルトンがあそこまで過剰にコンサバティブなレースをした理由は理解に苦しむが、ハミルトンもマッサも彼らにできるだけの仕事をした。アロンソやベッテルも脇役ながら、今シーズンの活躍に相応しい素晴らしいレースを見せた。
そして、あの劇的な結末は、神様からハミルトンとマクラーレン・メルセデスに対するプレゼントなのだろう。
今シーズン、ハミルトン、ライコネン、マッサ、クビサ、コバライネン、ベッテル、アロンソ と7人の勝者が誕生した。うち初優勝は3人。こんなに1シーズンに初優勝がでるシーズンも珍しい。世代交代の時期なのだろうか。
そして最後に、D.クルサード。
1994年から F1 を見始めた自分にとって、クルサードは馴染みのドライバーだった。
94年はスペインGPから急遽デビューすることになり、シーズン残りをマンセルとシェアしていた。あの頃はリタイヤも多く、危なっかしいレースばかりしていた。
95年 最強マシンと呼ばれた Williams Renault FW17 を駆って予選こそ善戦したものの、レースではチームメートのヒル共々 M.シューマッハに惨敗だった。また、ミスも多かった。
クルサードが変わり始めたのは '96年に マクラーレンに移籍してから。事実 '96, '97シーズンは 将来チャンピオンになる M.ハッキネンと互角以上の戦いをしていた。
ハッキネンがチャンピオンになる ’98年以降も時に素晴らしい走りを見せた。2000年のフランスでは M.シューマッハ相手にオーバーテイクを見せ、執拗にブロックする相手に対して中指を立てることもあった。
2005年にレッドブルに移籍してからは、堅実な走りを見せ、サバイバルレースに生き残るレースが多くなった。中でも 2006年モナコ。見事に表彰台を獲得し、スポンサーだったスーパーマンの格好で表彰台に上ったことを忘れない。
ありがとう、クルサード。