僕たちに不可能はない / リチャード・ブランソン

ここ数年読んできた本の中で、ベストかもしれない。


リチャード・ブランソンのことは、ヴァージン・グループの創業者として、また 気球やヨットで世界一周に出かける冒険家として、以前から名前は知っていた。

リチャード・ブランソンもヴァージン・グループも、名前こそ知っていたものの内容や歴史について知らなかったし、世界が一目を置くグループを築くには、ほかにない何か特別な理由があるのだろうと思ってみてみた。


この本の目次のとおり。内容は、時系列的に書かれている部分はごく一部で、大部分はリチャード・ブランソンの読者に対するメッセージに沿って書かれている。

プロローグ
第1章 とにかくやってみよう!
第2章 楽しもう!
第3章 大胆に行こう
第4章 自分自身に挑戦しよう
第5章 自分の足で立とう
第6章 一瞬を精一杯生きよう
第7章 家族と友人を大切にしよう
第8章 他人に対して尊敬の念を持とう
第9章 ガイア資本主義
第10章 セックス・アピールについて
第11章 創造力を駆使しよう
第12章 何かいいことをしよう
第13章 さあ、変身だ!
第14章 若々しい心を持とう
エピローグ

読んでいて、リチャード・ブランソンのフィロソフィーを感じたのは、以下の部分。

 人生、勝つときもあれば負けるときもある。だから、勝ったときにはそれを喜ぼう。負けても後悔するのはよそう。後ろを振り返るな。過去を変えることは不可能だけど、過去から学ぶことはできるはずだ。...(中略)... あなたの夢が何であれ、それに向かって突き進め。... (中略) ... リスクに規則性がないとか、あまりにリスクが予測不可能な場合には注意が必要だ。でも、これだけは覚えておいてほしい。
 安易な人生を選ぶ人は、勝利をつかみ取るという意味を、一生知ることはない。


P.84 第3章 - 大胆に行こう

リチャード・ブランソンは大胆な行動をとるが、リスクを厳しくコントロールしている。
ヴァージン・アトランティック航空を創立した際も、当時ヴァージン・グループのコアビジネスだった ヴァージン・ミュージックの経営委員会で圧倒的に反対されていたものの、ブランソンが新しいチャレンジの必要性を説いてはじめることになった。
ヴァージン・アトランティック航空を始めたからは 当時国営企業だった BA(British Airways) との長い攻防だったが、圧倒的に経営規模も空港発着枠でも圧倒的に強い相手に対して、それ以前に格安航空会社をしていた人物をアドバイザーに引き込んで、同じ過ちを踏まないように注意深く戦っていった*1


そして何より、リチャード・ブランソンが何度も強調している "物事を楽しむこと" を強く感じた。仕事を楽しみ、冒険を楽しみ、そして何より一番に家族を愛すると。
成功した人物の書いた本だからかもしれない。でも、それ以上にリチャード・ブランソンという人物が仕事や冒険、プライベートを通じて常に人生を楽しもうという姿勢がひしひしと感じられる本だった。

*1:途中、経営資金を確保するためにヴァージン・ミュージックをEMIに売却するなどもしたが