Rd.6 Canadian GP

今年もモントリオールは波乱に満ちたレースだった。ハミルトンは素晴らしいパフォーマンスを見せ、自らの手で初勝利をつかんでみせた。また数々のアクシデントと、それにともなう4回にわたるセーフティーカーが大きな混乱をもたらした。そんなカナダGPを振り返ってみたい。


まず触れなくてはならないのは、クビサのアクシデントについて。見た瞬間に「これはマズいなぁ…」とおもうアクシデントだったが、クビサが軽症で済んだことはなによりである。特に、今回は近年まれに見る危険なアクシデントで、高速でサイドからコンクリートウォールを直撃し、マシンが大破するほどだった。にもかかわらず、サバイバルセルがつぶれることなく守られていたことは、近年のF1の安全性強化の結果なのだろう。ほんとうに無事でよかった。


次に、ハミルトン。モナコで果たせなかった初ポールと、初優勝という結果を見事同時に成し遂げてみせたのは、マクラーレンメルセデスのマシンが現時点で最もコンペティティブという以外に、彼の才能によるものだろう。レース中、コンスタントに周囲より1秒速いタイムを刻み続け、彼にとって初めてのはずのセーフティーカーランにも動じることなく、むしろ2位のハイドフェルドと大きく差を開いてリスタートをきめてみせるあたりは、本当にたいしたものだ。


それに対して、ライバルたちの"ていたらく"ぶりはどうしたことだろう。アロンソはピットストップ時のペナルティの件は運が悪かったとしても、何度も1コーナーでオーバーランをし、結局7位。ライコネンはペナルティやミスはなかったものの、速さがまったく感じられず5位。マッサとフィジケラにいたっては、昨年モントーヤがこのレースでまったく同じ失態をしたにもかかわらず、また同じことをして失格。唯一まともだったのは、2位に入ったハイドフェルドのみだろう。


そして最後にブルツ。ちょうど10年前のこのレースに彼がベネトンルノー B197でデビューしたことを今でも覚えている。そのときは予選でクラッシュして下位に沈み、決勝も途中でリタイヤしていたが、今回は手負いのマシンで19番手から見事に3位に入ってみせた。このところ結果を出せずにテストドライバー降格説が出ていたが、今回の表彰台が転機になってくれることを期待したい。